娘たちが小学校の頃、学校の読み聞かせボランティアに参加していました。週に1回、読書の時間が読み聞かせの時間に変わります。
学期の始まりに読み聞かせボランティアを募り、お母さんたちが当番で本を読むという活動です。
ここでは、高学年になったころに学校で実際に読んだ本の中でウケた(喜ばれた)ものをピックアップして紹介します。
この記事でお伝えしたいこと
高学年の読み聞かせの本選びのポイント
小学校5年生、6年生となると、特に女の子がだんだんと大人びた態度を取り始めたり、ちょっと斜めに物を見て発言する子がちょろちょろ現れたりするお年頃。
それでも、たぶん、心の中は小さいころと変わらない部分がきっとあるはず。そういう思いで読み聞かせに行っていたように思います。
娘たちが行ってた小学校の読み聞かせ時間は10分。初めは15分あったんですけど、学校の時間割の関係で、ある年から10分になっちゃったんですよ。
はっきりいって、10分って短いです。せめて15分あれば、この2冊読み切れるのに!ってこと、何度もありました。
10分まるごと使うくらいの長さのものを1冊の日、8分くらいの本と2分で読める超簡単な本、という組み合わせにしたりという感じの配分で。
長い本、短い本の組み合わせをいくつか考えておくと、選びやすいです。
言葉遊び(落語)は、高学年の子が好んでくれたように思います。
民話系、天地創造系は、人気がありました。
幼稚園の頃読んで人気があった本もたまに選んでました。
「今日は1冊、懐かしい本を持ってきました。この本幼稚園のとき、先生が読んでくれたんじゃないかな」って。
すると、うんうん、とうなずいてくれる子がいたり、思わず「知ってる」って言っちゃって下向いて恥ずかしがってる子がいたり。
それなりな反応が返ってくるんです。なかなか、楽しい時間でした。
高学年になるとどうしても「上級生の自覚を持って」とか「低学年のお手本になれ」と言われます。
絵本の時間くらいは、ホッとリラックスしてくれるといいなぁと。そんな思いもありました。
学校ボランティアの読み聞かせで高学年におすすめの本
うちの娘たちが高学年の頃、学校の読み聞かせで実際に読んだ本や、お友達のボランティアさんにおすすめした本をピックアップします。
ジャイアント・ジャム・サンド(5分)
ある日ハチの大軍が村にやってきた!ハチに刺されまくって、被害がどんどん拡大していきます。村の人々は集まって会議。どうやってハチを退治しようか!?と、けんけんごうごう。そんな中、立ち上がったのはパン屋さんで…。ありえなーい!と思うほどの方法で、ハチを見事撃退します。
細部までこだわって描かれた絵で、村の人たちが生き生き。安西 徹雄さんのリズミカルな訳文がすごく良くって、読みやすく、子供たちにもスッとおかしみが伝わります。この本は、どの学年で読んでも鉄板でウケました。余談ですが、退治方法の過程で登場するパンのおいしそうなこと!いつもこれを見ると、ホームベーカリーで食パンを焼きたくなります(わたしだけか)
⇒ジャイアント・ジャム・サンド [ ジョン・ヴァーノン・ロード ]
落語絵本 四 じゅげむ(10分)
子どもが生まれ、とにかく良い名前を付けようと、縁起の良い言葉をお坊さんに聞いてみたものの、結局選べずに全部使ってしまった。ものすごく長い名前になってしまった。怒るときも「じゅげむじゅげむ ごこうのすりきれ~ ったら!!」。
落語の有名な話を絵本にしたもの。どんなに忙しい時も、フルネームを一生懸命呼び続けるのがおかしくておかしくて。表情豊かでユーモラスな絵も、また良いのです。NHKの”にほんごであそぼ”でも、コーナーの一つになっていて馴染み深かったこともあるのか、にやりとする男子の姿もありました。
ひとあしひとあし(5分)
ちいさなちいさなしゃくとりむし。鳥たちに食べられそうなるけれど、「ぼくはべんりなんだよ ながさをはかれるんだよ」と、さまざまな鳥たちの体を測ってあげます。そうして、喜んでもらいつつ生きてゆくのですが、最後に出会ったナイチンゲールに難しい問題を突き付けられます。しゃくとりむしが出した答えは?どんな知恵を持って、切り抜けたのでしょう?
出会った鳥たちの色鮮やかな絵もほのぼのして素朴で良いですよ。レオ・レオニと言えば、小学校2年の教科書の「スイミー」と同じ作者。読む前に「スイミーって覚えてる?」と声をかけると頷いてくれて、「じゃあ、同じ作者のレオレオニさんの別のお話を読みます」って言って始めると、興味を持ってくれました。
⇒ひとあしひとあし なんでもはかれるしゃくとりむしのはなし [ レオ・レオニ ]
ボルカ はねなしガチョウのぼうけん(8分)
ボルカは生まれつき羽根がないガチョウの女の子。お母さんが毛糸の服を作ってくれますが、他の子とはやっぱり違ってなんかへん。仲間外れにされてしまいます。わたりの季節が来て飛び立ったものの、うまく飛べずに仲間ともはぐれてしまうのです。でも、良い人と出会い船旅をし、とうとう自分の居場所にたどり着きます。
パッと見、地味な絵ですが、奥深いメッセージが秘められているのが良いのです。幸せを見つけたボルカの姿がとってもユーモラスでかわいい。ジョンバーニンガムさんらしい、力強い絵も魅力的。読み聞かせでも、ちょっと離れた子にも見やすいのでは?と思いました。
⇒ボルカ はねなしガチョウのぼうけん [ ジョン・バーニンガム ]
ぼちぼちいこか(3分)
体重がメガトン級におもたいかばくん。だけど、彼には夢がある。なってみたい仕事をシュミレーションしてみるも、その体重のおかげでことごとく失敗。だけど、ぜんぜんくじけないのです。そして、なかなかうまくいかなくても落ち込まず「ぼちぼちいこか」とのんびりハンモック。
小さい子にも人気の絵本ですけど、この本当の面白さと伝えたいことを感じ取れるのって、もしかして高学年くらいではないかと思うんです。せかせかしてしまいがちだし、結果をつい求めてしまいがちな世の中に生きてるけれど、もっとゆっくりいこうよ。そして、「それでも夢を見る」という強さと楽しさを感じて生きて行こうよ!っていうメッセージが詰まってるんです。
関西弁の語り口がこれまた、かばさんの失敗をおかしく彩ってくれていいのです。1冊読んで時間がまだある!という時に読むのにもぴったりの長さ。逆に先に読むと、こどもたちが読み聞かせに前のめりになってくれるので重宝した1冊でした。
レイバン 光をもたらしたカラス(10分)
アメリカ先住民に伝わる民話。昔、世の中には太陽が無く、暗い中で暮らしていた地上の人々。そんな人々のことかわいそうに感じたワタリガラスが光を探しに旅立ちます。とうとう、太陽を見つけるのですが、天の家族の家の奥深くに隠されていてなかなか手出しができません。そこで、ワタリガラスは一計を案じて、太陽を手に入れようとします。
この話は次女がとにかく好きで好きで。静かな創世のお話ですが、ふしぎさとロマンを感じる絵と語り口が好きみたいです。次女リクエストにより、ボランティアで読みましたが、感想の手紙に「お日様を盗み出すところの方法が面白かった」という声も寄せられました。
天の火をぬすんだウサギ(5分)
昔、地上には火が無く、動物たちは毎冬暗くて寒い中を暮らしていました。ある時、どうしても火がほしくなり、いたずら好きで知恵者のウサギが天の人のもとに火を取りに向かいます。天の人から見事火を奪い、獣たちが協力して伝え合い、とうとう地上に火がもたらされます。
これも創世のお話なのですが、レイバンとは違ってかなりユーモラス。なぜ、その動物が今の姿になったのか?も描かれています。いたずら好きなウサギには、気を付けていたはずの天の人が、すっかり騙されてしまう様は、ついつい「いとも簡単に信じたねw」と思わず突っ込んでしまうのですが^^;
⇒天の火をぬすんだウサギ (児童図書館・絵本の部屋) [ ジョアンナ・トゥロートン ]
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まとめ
低学年のころはわりとなんでも喜んでくれるんですけど、学年が進むにつれて読む本に悩みました。
大きい子に読んであげたい本はいっぱいあるけれど、読み応えのあるものはどうしても長くなってしまい、10分間に収まらないんです。
短い時間でも心に残ったり、面白いと思ったり、楽しんで聞いてくれる本はないものかと、試行錯誤でした。
長女の学年の子はわりと冷めてて(笑)、反応が薄いので、余計心配になったものです。
ウケを狙うのは違う気がするけど、たった10分でもたいくつに感じたらつらいな…と。
うちの娘たちが高学年になっても「これ読んで」と言ってくる本を選んで持って行ったりしてました。
それぞれ、6年間読み聞かせをして思ったのは、大きい子供たちでも、反応は薄くとも、ちゃんと聞いてくれている。
楽しんだり、つまんなかったり、なにか少しでも感じてくれているものだなと。
学年が進むと、ついつい「本は自分で読みなさい」「ためになる本を選びなさい」と言いたくなります。
だけど、ほんのひとときでもいいから、ただ、楽しむために大人の声で本を読んであげるのってすごくいいと思うんですよ。
良い活動に参加できたなぁと、今でも思います。
さっき、この記事を書くために本棚から絵本を取り出して、写真を撮っていたら、次女が、
「わー、コレ好きー!」と、ジャイアントジャムサンドを持ってきて、「読んで」。
え?読んで?
中3の娘に言われると思わなかったからちょっとびっくりしました。
ジャイアントジャムサンド、天の火をぬすんだうさぎ、かいじゅうぞろぞろ、を読んであげて、満足したみたい。
何歳になっても、読み聞かせってうれしいものなのかもしれません。