小学校高学年から、中学校にかけて、次女はかなり長めの本を読むようになりました。童話館のぞうさんの絵のついた冊子小包も徐々に厚くなってきて、絵本だけでなく、箱に入った分厚い小説や文庫本が届くようになってきたのもキッカケですね。絵本も相変わらず好きだけれど、かなり分厚い本でも躊躇なく読み始めます。
じーっと本を眺めながら、静かにページをめくっている姿。話しかけても、私の声が聞こえないほどの集中ぶりです。
で、特に夢中なのがファンタジー。見たこともない世界の物語を、想像を広げながら読むのがとにかく楽しいみたい。
うんうん、わかるわかる。私もそうだもの。大人になった今でも、ファンタジーは本当に面白い!
次女が一番好きなのは「精霊の守り人」
童話館から届いた本の中で一番好きなのは?と聞くと、真っ先に名前が出るのが「精霊の守り人」。上橋菜穂子さん作の、異世界ファンタジーの傑作。
女用心棒バルサの物語。1冊目が童話館で届いたんですが、ものすごく気に入ってしまい、誕生日プレゼントにシリーズ全部が欲しい!というほどです。
童話館から届いたのが偕成社軽装版で、表紙のデザインがすごく気に入ったらしく、そのシリーズで揃えました。新潮社の文庫も出てるみたいですけど、表紙絵がお好みじゃないらしい。
作品は番外編も含めて全12冊あり、本棚に並べるとなんだかいいかんじなのです。
シリーズ全作品の中でもやっぱり、第1作の精霊の守り人が一番好きだそう。本棚に並んだ本をよくよく見ると、確かに精霊の守り人が一番読み込んでるよね。物語の中に出てくる、食べ物の描写もおいしそうで大好きなんだって。
私も、次女にものすごく勧められて読み始めました。最近ずっと時代小説ばっかり読んでたのですが、1冊読み終わるごとに「次は精霊の守り人読めば!」って、毎回言われてまして。その熱意に負けて読み始めたらね。
なるほど、面白い。クライマックスに近づくにつれいったいどうなってしまうんだろう。。と、先が気になって、家事が手に付きませんでした。元々ファンタジー超好きなので、そうなるのがわかってたから読むのを躊躇してた、ってだけだったりして。
ちなみに、精霊の守り人はちょっと前にはアニメ化されたり、いまNHKでも大河ファンタジーとして実写化されたりと、なにかと話題ですよね。
だけれど、次女曰く、「実写見たら、なんか違った…。主人公のバルサがきれいな人過ぎてちがった…。もっとごつごつした武人のイメージだったのに」「お話のストーリーがなんか違う」
「アニメは短槍の長さが、本と違う。肩までの長さのはずなのに頭まで届くくらい長いし、やっぱり違う」と、言いまして。
確かにね、偕成社の挿絵担当の二木真希子さんが描いたバルサは、綺麗というより男っぽいし、短槍を操る様はとことんかっちょいい。綾瀬はるかさんだと、かわいらしすぎ、って思ったのかもね。
一応1話だけは見たけれど、もう続きは見ていません。やっぱり、原作を読んだことがあって思い入れが強い分、違和感があるんだろうねぇ…。わかる気もします。
普通に見るだけなら、普通に面白く見れるんだと思うんですよ。うちの母(次女から見るとおばあさん)は、夢中で見てますから。
ファンタジーと言えば「はてしない物語」は外せない
次女のファンタジー好きを見て、やっと時期が来たか!と。私の本棚の中から1冊の本を出して手渡しました。
「これ、ママが一番好きな話だから。読んでみて」って。それが「はてしない物語」です。
ファンタジーと言えば、ミヒャエルエンデ。特に中学生くらいの子に、その世界観を思いっきり堪能してほしい、と思うのが「はてしない物語」なのです。これほど夢中になった本、なかったかも。
主人公のバスチアンと一緒に、アトレーユの冒険を励まし、悔しがり、いらだち、共に泣き…。フッフールの背中に乗って、ファンタージェンを飛び回り…。虚無に浸食された世界を救ったときには、本当に大喜びで。
本は2色刷りになっていて、バスチアンのいる現実世界と、ファンタージェンの世界の物語が同時に進んでいくんです。これが、はてしない物語の中で、バスチアンがコレアンダー書店から持ち出した本と同じ作りなんですよ。
あかがねいろの表紙に、2匹の蛇がたがいに相手の尾を噛み楕円につながっている紋章の絵が描いてあるところまでそのまま。現実でありながら、バスチアンを通して、一緒に中に入っているような錯覚を起こしてしまうのです。
入り込みすぎで気持ち悪いくらいですが(笑)、そのくらい、息をする間も惜しいほどに一生懸命読んだ本なのです。
バスチアンが表紙を確認する動作をしたときは、私も思わず表紙を見て確認してしまい…蛇が描いてある!って興奮したり。次女の様子を見ていたら、同じことをしてたのでちょっとうれしかった。
文庫本にもなってるんだけど、これこそ、分厚いハードカバーの本で読むのがおすすめ。物語をただ読むんじゃなくって、体験した気持ちになっちゃってねぇ…。
これも映画化されてますね。ハリウッドで。ネバーエンディングストーリ―として。1作目はわりと原作に忠実で、楽しめたんだけど、2、3は、かなり原作と違い、なんでそうなった…とツッコみどころだらけ。何年も前の話ですが、メラメラしたのを思い出しました。だから、次女の精霊の守り人の実写化、なんか違う、っていう意見も理解できるなぁ。
ちなみに長女が今でも好きなのは「童話物語」なんだって
本棚に並んだ本を眺めながら、それにしてもいろいろ読んだものだなーと思っていたら、長女が「わたしこれが好き」と言って取り出したのが「童話物語」です。
妖精フィツは、地上世界が滅びるべき世界かどうかを見極める使命を持って、地上に降りて来ます。そこで少女ペチカに出会うのですが、この子がなんせ性格が悪い。だけど、ペチカがそうなってしまったのには理由があって…。
小さなペチカの心が少しずつ浄化していく様子に涙があふれたのだそう。生きていくことって大変だけど、だからこそ幸せ、そんな気持ちになれる本ともいえます。
長女の場合は、特に表紙の絵の美しさに魅かれて読み始めたみたいですけどね。高校の課題の読書感想画の題材として選んでいました。
いつかは読んでほしい、指輪物語
いつかは、次女にすすめようと思ってるのがJ・R・R・トールキンによる「指輪物語」。これも、すごく好きなお話。一言で言うと指輪を探索に出たホビットのフロド、従者のサム、他9人の仲間のたちの壮大な冒険物語、なのですが、そんな一言で済ませたら怒られそうなほどに膨大な壮大な冒険ストーリーなんですよ。ちょっと前に映画化されて話題になったロードオブザリングの原作、ですね。
この指輪物語の世界は創成期からずっとの大きな大きな歴史があってですね、指輪物語第1巻の序章の部分にすごくページを割いて書かれているんです。なので、ちょっと気合を入れて読まないとその段階で挫折しちゃうかも。歴史好きの人なら行けるかな…。そこは飛ばして後から読むとして、第1章の誕生祝のところから読めばいいですね。とにかく読み応えが十分なので。
小さい人ホビット族、美しいエルフ、ドワーフ、魔法使い、トロール…さまざまな登場人物たちそれぞれに、歴史があって一つ一つ語るだけでもそれはそれは大きな話になっちゃうんだろうなあと。一つ道をたがえたら、違う物語に足を踏み入れてしまいそうななんとも言えないスリル感も味わえる。。
写真を撮ろうと思ったら、どこかに仕舞いこんでしまったみたいで見つからず。
私の本は古すぎて、ページは茶色く焼けてるし、ところどころ破れてるしだから、いつか、次女に手渡すときは、新装版で美しいタイプを新調してあげようかなーと画策中。
まとめ
小学校高学年から中学生くらいって、心も体も成長しはじめて、今までとは違う自分に戸惑ったり悩んだり、喜んだり、そんな時期です。勉強はしなくちゃいけないし、お友達関係も謎の複雑さを増していく一方だし、いいと思ってたことが良くなかったり、理不尽に出会ったりと…。さまざま葛藤するわけです。
そんな時ただただ、面白い、でも、ワクワクする、でもいいから、本の世界に没頭できる時間ってすごく貴重だなと、改めて思います。
ファンタジーって、そう言う意味でもなんというか…。ちょっと現実浮かんで、違う世界へ入りこみ、主人公と共に冒険する体験もいいんじゃないのかしら。
目に見えるものだけが全てじゃないし、目に見えないものの中にも大切なことはいっぱいある、そういうことにも気づけたりしますしね。
なんといっても想像の翼に乗ってどこまでも飛んで行けるって素晴らしいことだなと思うんですよね。いい本にいっぱいであってほしいし、一緒に楽しんで行けたらいいなぁと。
あとね。ちょっとお勉強のことにつなげるとしたら、これだけの長い本をとことん読み切れる力も侮れないですよ。文章を読むことに苦痛を感じる子とそうでない子、だと理解するまでのスピードも違ってくるんじゃないかと。国語に限らずね。一個のことにグッと集中できる力が知らずにつくのも、長い長いファンタジーを読むことの副産物なのかもしれない。
・・なんて、そんなこと考えずに、ただ楽しんでくれるのがいちばんか!