京都国立博物館で開催されている海北友松(かいほうゆうしょう)展に行ってきました。
開館120周年記念の特別展覧会、史上最大規模となる大回顧展です。この絵師ただものではない!とのキャッチフレーズと、ギョロッとこちらをにらむ龍の目に魅かれて、ぜひ見てみたいと。
海北友松展開催期間や実際に見た感想と京都国立博物館へのアクセス方法などを覚書します。
この記事でお伝えしたいこと
海北友松ってどんな絵師?
元々は、近江浅井家に使える武士、海北綱親の五男として生まれた武家の子でした。でも、主家の浅井家が織田信長に滅ぼされた時に父や兄を失います。
東福寺の喝食としてお寺に入っていたために命をうしなわずに済んだ友松は、お家の再興を願い還俗して狩野派に所属し、絵を描き始めるのです。
武士の心を持ちながらも、絵筆をふるう海北友松。明智光秀の家臣斎藤利三とは親友と言える間柄で、豊臣秀吉、石田三成、細川幽斎とも交流していたそう。
初期は、狩野派の影響を色濃く残した作品が多く、徐々に独自の個性があふれる作風へ。
やがて、建仁寺、妙心寺といった寺院にて、天皇や武家のためにさまざまな絵を描くようになります。
その様を、今回の海北友松展で時代を追って鑑賞することができました。
京都国立博物館の海北友松展 3階からスタート
今回の海北友松展は京都国立博物館で2007年から行われてきた桃山絵師シリーズの最後を飾るものなのだとか。
全部で10章からなる海北友松展、3階へ上ってスタートです。
第1章は狩野派の門をたたいた友松の初期作品が並びます。どちらかというと、おとなしめ。
柏に猿図のお猿さんの愛らしさにほっこりしてしまいました。
建仁寺の雲龍図 画面から飛び出さんばかりの迫力
建仁寺方丈の雲龍図は第4章に。
画面からこちらを睨みつけるギョロッとした龍の目。とんがったつの。
爪の先まで力がみなぎっている足、体中に黒光りする鱗。
墨の濃淡で描かれた雲の中から、ぐぅっと飛び出してくるような。大迫力です。
(建仁寺ではデジタル複製したものが見られます。)
妙心寺の花卉図屏風は金箔に花が鮮やか
ここまで見てきた絵は、墨の濃淡で描かれた迫力あるもの、比較的穏やかな色彩のものが主でした。
第7章の妙心寺の作品のエリアに行ったらその豪華絢爛な作品に驚きます。
金箔を施した屏風の中に、咲き乱れる牡丹、可憐な梅椿を描いていて、派手!
金色光る画面の中に、葉の緑も鮮やかでした。
面白いなと思ったのは、一通の書状の展示。
妙心寺に宛てて書かれた、屏風画料受取状です。これこれこういう絵を描いたので、これだけ受け取りましたと。
領収書ですね。こういうやりとりがあったって、なんか楽しいw
1階には雲龍図屏風の数々
1階に行くと第8章「画龍の名手・友松」と題して、さまざまな雲龍図が展示されていました。
建仁寺のとはまた違い、濃い墨の中から浮かび上がるような龍、表情もちょっぴり悪い人ふう(なんじゃそりゃ)で、不気味さすら感じます。
さまざまな、雲龍図があって、見比べてみました。表情が豊かで、一つ一つ違う。
龍を描かせたらすごい、画龍の名手とうたわれたそうです。
月下渓流図屏風の美しさに感動
友松画の到達点として、詩情あふれる一双の屏風で海北友松展はしめくくりです。
この月下渓流図屏風は、アメリカの美術館に所蔵されて以来、長らく日本には戻ってこなかったのだそう。
今回、無事の帰国を果たしたということでした。
今まで見てきた、大迫力、豪華絢爛な作風とは打って変わって、静かな静かな絵で。
うすく輝く月の光のもとに、川が流れ、花が咲くさまが美しくて感動でした。
海北友松の画集をお土産に購入
全ての絵を鑑賞し終わり、感動しきりで出口を出るとそこには売店という名のトラップが(笑)
海北友松の雲龍図や月下渓流図屏風、鹿図などの絵をモチーフにしたさまざまなグッズが販売されていました。
扇子やらメモ帳やら、ハンカチやら、お菓子やら、いろいろありました。
長女は一言「とにかく、海北友松を網羅した画集が欲しい」という。
特別展覧会「海北友松」のオリジナル図録のみを購入しました。2500円なり。
この「海北友松」オリジナル図録は、絵だけでなくさまざまな解説文が掲載された分厚い1冊の画集。
表紙が、建仁寺の雲龍図のものと、月下渓流図屏風の2種類ありました。
迫力の雲龍図か、美しい渓流図か、迷ったけれど、
「こっちのきれいな絵が好き」ということで、月下渓流図屏風の方を選びました。
写真では、光の加減で字が飛んじゃってますが、金色で海北友松って書いてあります。
めくりながらじっくりとみていましたが、見ごたえのある画集で、大満足です。
今回海北友松という絵師の絵を、初めてじっくり鑑賞できました。
緻密、精密な絵というよりは、ダイナミックで、思いのままに自由に描いていた人なのかなと感じました。
ただの美術好きの素人の感想です。
元々は武士の家柄に生まれながら、主家が滅亡したことにより、絵師の道を進むことになった友松。
日ごろ錚々たる面々と交流しながらも、武士ではない道へ進んでしまったことに対する苦悩や葛藤を抱えて、それでも絵を極めて行ったのかな。と。
生きるということは、絵の追求にあったんでは。最後、月下渓流図の境地に至り穏やかな気持ちで生を終えたのでは?と。いろいろ思いをはせました。
京都国立博物館へのアクセス 海北友松展の開催期間情報
京都国立博物館での海北友松展の開催期間は、2017年4月11日(月)から5月21日(日)。
開館時間は、午前9時30分~午後6時、金・土曜は午前9時30分~午後8時です。
閉館の30分前に入館終了なのでご注意。
入館料は、一般:1,500円、大学生:1,200円、高校生:900円。
大阪・京都・奈良の提携大学生はキャンパスメンバーズとして1000円で入れます。
〇京都駅から国立博物館へのアクセス
市営バス100(D1乗り場)、206・208(D2乗り場)のどちらかで、「博物館・三十三間堂前」下車 目の前です。
電車なら、JR奈良線で「東福寺駅」⇒京阪電車乗換、「七条駅」下車 徒歩7分。
バスならば目の前にバス停があるので、アクセスしやすいです。
でも、このバスは清水寺などの人気スポットと同じ系統なので、帰りに乗ろうとすると大混雑で全然乗れないというケースも。
以前、琳派展のときに清水寺の拝観時間終了の時間帯と重なってしまいまして。
バスが何台来ても人がいっぱいで停まってくれず、そのまま通過。
結局歩いて京都駅に向かったのですが、20分以上歩いてへとへとになりました。
もし、バスが混んでて乗れないならば、7分歩いて京阪七条駅まで行き、東福寺駅でJRへ乗り換えて京都駅というルートが楽です。
渋滞もないし、15分くらいで京都駅に着きます。
今回は、その方法で帰りました。
おまけ:海北友松展と若冲展(後期)をはしご
海北友松展を見た後は、相国寺の承天閣美術館で開催されている伊藤若冲展(後期)へはしごしても良いですよ。
同じく5月21日まで毎日開かれているのです。
<京都国立博物館から承天閣美術館へのはしごアクセスの方法>
七条駅(京阪:出町柳行)⇒出町柳駅下車
京都市営バス「出町柳駅前」バス停(201系統:千本今出川,四条大宮方面)⇒烏丸今出川下車 徒歩3分です。
出町柳駅から歩いて20分という方法もあります。
ちょっとアクセスしにくいですけど^^;
相国寺美術館の目の前には京都御所もありますし、近くには二条城も。
見終えた後に観光するのも良いですよ。
※このページの絵は、購入した図録から撮った写真です。