妙心寺法堂
春の終わりごろ、妙心寺に行ってきました。
嵐電に乗って龍安寺に行くときに、妙心寺駅を通過したので、以前から気になっていまして。
調べてみると、狩野探幽筆の雲龍図が描かれた法堂があるとのこと。ぜひ見てみたい!ということで、足を運んでみました。

妙心寺駅から徒歩3分 北の総門から妙心寺へ

嵐電に乗り妙心寺駅下車。踏切を渡ると妙心寺の案内看板があったので、それに沿って歩いて行きます。
まっすぐ歩いて行くと、3分ほどであっという間に妙心寺と書かれた門に到着。

思いがけないほどに近いです。
ここで到着した門は、北総門とのことで、案内所が設けられていました。
すぐ横に、大きな案内図がありましたが、眺めていても、何が何だかわからない(笑)

「〇〇院」という名前が無数に書いてあるのです。
ちょっと待て・・どこに行けば雲龍図が観れるのだろう…

妙心寺って大きい!塔頭寺院が40も

それもそのはず。

平安京範囲内で北西の12町を占め自然も多いため、京都市民からは西の御所と呼ばれ親しまれている。

ということで、46カ院の塔頭寺院を持つ大きなお寺なのですね。

境内の広さは、東西に500メートル、南北に619メートル。約10万坪もの広さを誇るのです。
甲子園球場8個分だという話でした。

目指す法堂は、まだ南へ歩いた先にあります。
北総門からまっすぐ伸びる石の道をひたすらに歩き、途中で少し右に折れてまだ歩きます。

この道は公道なのか、高校生くらいの子が自転車で走ってたり、犬の散歩をしてる人に遭遇したりという感じ。
人は少なくて、のんびりした雰囲気です。

拝観受付にたどり着く

妙心寺廻廊
7、8分歩いたところで、やっとそれらしき建物が見えてきました。
廻廊(橋?)の下をくぐると、拝観受付の小さな建物です。

ここ、かなり低い橋で頭上注意の看板が。。
身長160センチに満たない長女が歩いてギリギリでした。
外国人の男性なら間違いなく頭をぶつけることでしょう。

大方丈の中に、拝観受付がありました。
妙心寺の法堂の内部に入るには、20分間隔で行われるガイドツアーのようなものに参加します。

到着したときにちょうど、あと2分で出発です、という状態だったので大慌てで拝観料を納めて参加。
靴を脱いで手に持って、先ほどくぐった廻廊を渡ると法堂です。

ちなみに、ここで御朱印もお願いできるのですが、とにかくすぐ始まります!という状態だったので、急いでて頼み忘れました(TT)

法堂の雲龍図を仰ぎ見る

法堂に入るとひんやりとした空気が流れていて、広い空間に出ます。
すぐに目に入るのが、天井の雲龍図。

ものすごい迫力です。
天井が高いはずなのに、迫りくるような大きな大きな龍の絵。

写真撮影は不可ですが、事前に雲龍図の絵をいただきました。
妙心寺 雲龍図
余談ですけどこの紙、B4サイズくらいでとっても大きいので、持ち帰るときは折らざるを得ず…。
書類が折れないバッグを持って行けばよかったなーと思いました。

この雲龍図は狩野探幽の筆によるもの。
大きな板に龍の絵を描き、完成した後に天井に取り付けたのだそうです。

龍の絵を描く際、目は最後に描きいれるということです。目を入れることで龍に命が吹き込まれるという考え。
これを画竜点睛と呼ぶのだそうで。

画竜点睛という言葉の「睛」は、目玉とかひとみとかいう意味を持っています。
物事の大事なところ、という意味を持つので、

画竜点睛を欠く、というのはつまり、仕上げが十分にできていないという状態を表すってことですね。
なるほど…。

この龍の目は、ほぼ絵の中心にあるとのこと。
この龍の技法は「八方睨み」ということで、法堂のどこから見ても龍と目が合うようになっています。

スポンサーリンク

妙心寺の雲龍図は、龍が動く!

目が合うのも不思議ですが、もっと不思議なのが「龍が動く」こと。
法堂の入り口あたりから見上げたときは、上から見下ろされるような感じで、龍が降りてきているのに、

龍の方を見ながら法堂をぐるりと回ると、真ん中で急にグンと上に伸びるように龍の向きが変わり、
そのまま龍が天に昇って行ってしまうのです。

下り龍から昇り竜に変わるということ。
不思議すぎる…。

ガイドさんの説明に合わせて2周歩いてみました。

先ほどまで昇り竜だったのに、また入口の方に行って上を見ると、
上から龍がグイッと落ちてくるような下り龍に戻っています。

この落差がすごい。
実際に絵が動いているわけではない(当たり前)なのに、本当に生きているよう。
悪いことはできません。。龍さんが見ていますからね、という気持ちに(笑)

国宝の妙心寺鐘 ゆく年くる年でお馴染み

法堂の隅には、国宝の妙心寺鐘がつるされていました。
これは以前は鐘楼にあり、長い間使われていたもの。

黄鐘調(おおしきちょう)鐘ともよばれていて
徒然草に「およそ鐘のこえは黄鐘調なるべし…浄金剛院の鐘の超えまた黄鐘調なり」と書かれていた、まさにその鐘。

日本最古、文武天皇2年(698)年に作られたという、ものすごく古い、歴史ある鐘。
(参考・妙心寺でいただいたパンフレットより)

698年って、「なんと立派な平城京」の710年よりも前ですよね。
その古さに驚きです。

打つとヒビが入ってしまうおそれがあることから、今は現役を引退して、この場所に安置されているんだそうです。
鐘の音は特別な技術によって録音されていて、その音をCDで流してくれました。

ごぉぉぉん。。ごぉぉぉぉん。と、厳かで底から湧きあがるような音色です。
しばし、時を忘れて聞き入りました。

この鐘の音は、NHKのゆく年くる年の第一声として長く使われていたんだそうですよ。
そういえばなんか聞いたことあるかも(いや。。鐘の音を聞き分ける耳はないです)

明智風呂とは、明智光秀を弔うための風呂

法堂を後にして、明智風呂へと案内をされました。
普段は入り口に鍵を掛けていて、ガイドツアーのときだけ外して中に入れるようです。

お風呂という名ですが、ものすごく立派な建物で、
中には木でつくられた浴室がありました。

お風呂といって湯船を想像していたのですがそうではなく、
すのこ状になった板の間がお風呂なのだそう。

洗い場もあります。

正直言って、妙心寺のここへ来るまで明智風呂というものを耳にしたことが無くて、いったいなんなのかと。
勉強不足で済みません。

明智風呂というのは、本能寺の変にて織田信長をたおした明智光秀の菩提を弔うために建設された浴室のこと。
明智光秀は、本能寺の変の後、妙心寺の塔頭寺院の和尚さんを頼ってお金を預けたそうです。

明智光秀は、自分の死を予期していたのではないか?とのこと。
間もなく山崎の合戦にて落ち武者狩りにあって命を落としてしまいます。

明智光秀の菩提を弔うために、なぜお風呂か。
それは、逆賊となった明智光秀の罪を洗い流すという思いがあったのでは…と。

解説してくれました。ちょっとうろ覚えの部分もあります。

感心していて、写真を撮り忘れてますが、
蒸し風呂形式で、釜や脱衣所の畳などがそのまま残されていました。

妙心寺へのアクセス方法と拝観料

妙心寺へは、市バス、嵐電の利用でアクセスできます。

〇京都駅から
バス:京都市バス26番系統 御室仁和寺・山越行で「嵐電妙心寺駅前」下車徒歩3分で北門
電車:JR山陰本線(33番乗り場)「太秦」下車⇒徒歩で「撮影所前」駅、嵐電北野線 北野白梅町行乗換⇒「妙心寺」駅下車 徒歩3分で北門。

・妙心寺の北門に着いたら、石が敷かれた道を道なりに歩いて行くと、
法堂が見えてきます。

拝観料は「法堂(天井の雲龍図)国宝の梵鐘、明智風呂」
大人500円、中学生300円、小学生100円。

ガイド付きの拝観です。
午前9時10分から20分間隔。お昼時は12時30分のみ。
午後は13時より20分間隔、冬は15時40分終了、春から秋は16時40分終了。

最後に

今回は、もともとは雲龍図を見たい!という思いで妙心寺を訪れたのですが、
詳しい下調べもせずに飛び入り的に行ったおかげでちょっと右往左往してしまいました^^;

拝観にはガイドさんがついてきてくれるのがすごく面白いです。
たぶん、ただ眺めているだけでは、龍が動いていることにも気づけなかったと思うし、
鐘が置いてあっても素通りだった気がします…。

明智風呂に至っては、完全に知らないので、観ないで帰ってきちゃったかも。

そういう意味で、ガイドさん付きの拝観はすごくよかった。

実はこの日、法堂で午後に大きな行事が行われる日で、
この回を逃したら、法堂拝観が出来なかったようなのです。

ラッキー!というか、危ない所でした^^;

ホームページに拝観中止日の案内があるので、行く前に確認をすることをおすすめします。

スポンサーリンク